奇天烈にしてマトモ、紳士的にして変態的なファーカンダは、歌とギターのKOWとアコーディオンの小俣慎一によるポップデュオ。10年近くにわたる活動を経て、初のアルバムがこの「夜のファーカンダ」となる。
その音楽的・詩的エッセンスは一種の「バーレスク」と言えまいか?意図的にばかげた作風で、まさに今の世の中のバカバカしさを風刺的に描き出す。パンチと諧謔に満ちた「地下主義者の夢」「おことわり人生相談」、ひねったラブソング「そこまで言える男は僕だけさ」「市場のイドラ」、コロナな人々と世の中を皮肉った「レット・イット・ビート」、自殺志願者に希望を説く「君のいない世界」などにその特色が顕著といえよう。そして隙間に「ロータス」や「鳥になあれ魚になあれ」のような普遍的な癒しの世界を忍ばせる。星衛(チェロ)、高橋克典(パーカッション)、天崎直人(ベース)、蔡怜雄(トンバク)、アケ・クボタ(ピアノ)、満島栄二郎(ベース)、フェイ・ターン(コーラス)、新井圭子(コーラス)といった豪華ミュージシャン達をゲストに迎え、ピュアアコースティックに、そしてエレクトリックに、天衣無縫な音色でリスナーをお迎えする。このスピリットは、そう、スパークスが一番近いと言えそうだ。